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履歴を記録すること

妄想作家

9月からのグワーッとした生活のしわ寄せが来てしまい一休み。昨日届いた柴田元幸の『monkey』を寝転がってパラパラ。ポール・オースターってこんなに大きかったのか。 本を読みながら想像するのは、手にした物語の登場人物なんだけど、頭の裏っ側の方では何…

乾いた怪談

小野不由美『残穢』の余韻に引きづられるように同時に出版された『鬼談百景』をパラパラと読んでる。百物語の形式で99話の収録だけど、『残穢』と合わせると丁度100話になる仕掛けなのか?!と邪推したくなる程、体の中にぬめっとした怖さが残っている。 乾…

読もうというキッカケ

西之園萌絵というキャラクターに嫌気が差してリタイアしたのが『封印再度』。森博嗣という作家に興味は残っていたのでエッセイやウェブサイトは読んでいたものの作られた物語に関しては、シリーズや登場人物が変わろうともこれまでは食指が動かなかったのに…

『結界師』田辺イエロウ

ツタヤでレンタルして週末に読了。全35巻。ちまちまと2週間かけて読んでしまった。 ここ1年の漫画サイクルは、ツタヤでとりあえず借りて読んで、また読みたいなと思ったものだけ購入するという流れが定着している。しばらく前までは、とりあえず買っちゃおう…

『戦中派闇市日記』山田風太郎(小学館)

昭和22年から昭和23年にかけての日記。 以前から自覚はあったけど、あらためて自分以外の人のただの日記を読むことが好きみたい。現在のブログの形式だけではなく、インターネットに出会った1998年頃から名も知らぬ見知らぬ他人のウェブ日記を読むのが楽しか…

少女あるいはガールという入口

野村美月の「文学少女」シリーズを粗方読み終えたので、結城浩の『数学ガール』を手に取ってみた。少女=ガール、という安直なつながりだけで積まれた本の中から探し出して読んでみたものの、その分野に詳しい少女と主人公の少年という設定は共通していて、…

建物で見る赤線地帯

「赤線」とは、昭和21年から昭和33年にかけて、日本中のいたるところに普通にあった「女性のいる町」のことだった。それまであった「遊郭」がGHQの手によって解体され、いったん公娼制度はなくなったものの、戦後の混乱期、集娼の必要を感じた政府はGHQの了…

貴志祐介祭り

先月の『黒い家』、『十三番目の人格―ISOLA』に引き続き貴志祐介による極上のエンターテインメント小説を。 『天使の囀り』貴志祐介(角川ホラー文庫) バイオホラー。ありえるかもしれない現実、という部分がバイオホラーとしての恐怖の源泉と思っている。…

『戦後ニッポン犯罪史』礫川全次(批評社)

『サンカ学入門』の著者が犯罪史についての本も出していたので、図書館で借りて読んだ。戦後の重大な事件をメインに50件の事件を取り扱っているが、事件の概要や背景など犯罪史の本として幹となる部分はあっさりとした記述で、未解決事件や冤罪と思われる事…

『世界クッキー』川上未映子(文藝春秋)

様々な媒体に載せられた川上未映子の言葉の集まり。ウェブサイトの文章を選りすぐった『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』に比べると言葉がすんなりと受け入れやすい文章になっている。そのせいなのか、今回はそれほど刺激を受けることもなく、…

『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』川上未映子(講談社文庫)

読後、何も留まるものがないという奇妙な体験だった。 ただ、読んでいるとフローの状態では、僕の中にある何かしらのスイッチをピンポンダッシュの要領で押し去っていく感じを受け、ふっ、とアイデアともネタとも言えないものが浮かんでは弾けていき留めてお…

『陽気な黙示録』佐藤亜紀(ちくま文庫)

佐藤亜紀のエッセイ集は意見を異にする内容も多いけれど、勢いと内容の分厚さが癖になり始めると読むことを止めるのが難しい。佐藤亜紀のようなぶっとい背骨とその上に乗っかっている自信がないので読んでいて爽快になってくるのだ。ひょっとしたら読みなが…

『サニーサイド・エッグ』荻原浩(東京創元社)

『ハードボイルド・エッグ』の続編。 コミカルで頼りなく妙に親近感のわく探偵は顕在。前作で登場した秘書のおばあちゃんがいないのは寂しいけれど、脱走ネコを探す過程はやはり面白い。リアリズムを追求した現代型の私立探偵だと浮気調査やペット捜索が発端…

『日本文学盛衰史』高橋源一郎(講談社)

W杯が始まってからというもの本を読む集中力がないので、この本1冊をちまちまと読み進めていた。この本を読む前にアマゾンでレビューに目を通したところ 高橋氏本人がインスパイアされたと語る「坊ちゃんの時代」という漫画(1997年手塚治文化賞受賞、関川夏…

『赤朽葉家の伝説』桜庭一樹(東京創元社)

鳥取の赤朽葉家を舞台に女三代、戦後からゼロ年代にまたがる年代記。三代とは祖母の万葉、母の毛毬、子であり記述者の瞳子。これまで読んだ桜庭一樹の本の中では最も面白かった*1。 辺境の人にまつわるエピソードからツボにはまったので、物語の面白さは万葉…

佐藤亜紀『モンティニーの狼男爵』(光文社文庫)

むかしむかしのことじゃった、・・・みんなでなかよくくらしましたとさ。昔語り風に展開される恋愛物語は、昼寝中に昔話のような自分史の中で狼に変身してしまうほどに物語浸透率が高い。 モンティニーの狼男爵 (光文社文庫)作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: …

2010年5月に読んだ本

久しぶりの読んだ本まとめ。実感以上に読んでいた5月。 こういう区分に意味があるとは思えないけど、今年は女性作家の小説をよく読むようになった。これという際立つような理由は分からない。ただ、僕が好んで読む種類の「本についての本」の中で紹介され、…

『私の履歴書 知の越境者』白川静, 梅棹忠夫, 梅原猛, 中村元(日経ビジネス人文庫,2007)

日経新聞掲載の「私の履歴書」をまとめたもの。 白川静は漢字の活性化の必要性を解き、中村元は小難しい仏教用語をいかに分かりやすく伝えるかに苦心し、梅棹忠夫はローマ字運動やエスペラント運動に身を投じた。偶然なのか、意図して編集したのかわからない…

運動的音楽論

SWITCHの3月号。東京事変、運動的音楽論。 今日発売のアルバム「スポーツ」についてのインタビューをメンバーそれぞれにしてあるけど、ドラムスの刄田綴色のインタビューでの受け応えにウケてしまった。普通っぽいはずなのに多少ズレている感に好感を持って…

『科学の扉をノックする』小川洋子(集英社)

あとがきより 子供の頃から、新聞で一番好きなのは科学の記事でした。 (中略) そして記事の脇に研究者のお写真が載っていれば、当然私の目はそこに釘付けとなります。この先生の脳みそには人間はどんな姿で映っているのだろうか、一体どういういきさつでこ…

『密室の如き籠るもの』三津田信三(講談社ノベルス,2009)

刀城言耶シリーズの中短編集。短い話だと中途半端な印象がぬぐえなかった。なので、唯一の中編である表題作が最も読み応えがあった。 首切の如き裂くもの 元華族の人たちが多く住むお屋敷町の路地で起きる連続首切り殺人事件。突っ込みどころの多い話。 迷家…

『山魔の如き嗤うもの』三津田信三(原書房)

童唄をもとにした見立て殺人。マザー・グースの童唄を元にした見立て殺人もそれなりに恐怖心を煽られるけど、日本の童唄の方がより怖いと感じるのは歌の背景をイメージしやすいからか。 わらべ歌、童謡の歌詞の意味(意外に怖い) 週刊弐式(ry 童謡、わらべ歌…

ハードボイルドDNA

タンパク質の製造過程で遺伝子のありかが探し出され、それが転写される様子を小川洋子は、 私のイメージの中で、DNAのチャックは静かに開く。もちろん必要な長さだけ、わずかの狂いもなく、厳かな雰囲気さえ漂わせつつ開く。ご本尊なのだから、慌てたり、は…

『首無の如き祟るもの』三津田信三(原書房)

刀城言耶シリーズを3作読んだけど、ミステリとして最も楽しめる内容だった。終盤でのどんでん返しの連続を左手で感じる残りページ数からもう一転がりするかなと推測しながら読む楽しさ。ミステリの読み方としては間違っていると思うけど。 首無の如き祟るも…

『凶鳥の如き忌むもの』三津田信三(講談社ノベルス)

ミステリとしても、ホラーとしても中途半端な印象の作品だった。中盤を飛ばし読みした僕が言うのもなんだけれど。 凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/06メディア: 新書購入: 4人 クリック: 25回こ…

楽しみ方を忘れた大人

ミステリを読むのに骨格となる部分を字面を追うだけで済ませている三津田信三の刀城言耶シリーズ。『凶鳥の如き忌むもの』で中盤を占める人間消失のトリックを「場合分け」で検証する場面、ひとつひとつ自分でも考えるのが楽しいのだろうけど、どうやって?…

『鏡の影』佐藤亜紀(ビレッジセンター出版局)

ビレッジセンター出版局版。 ヨハネスとシュピーゲルグランツの道中は、弥次喜多コンビのようで面白いと思っていたのに、なるほどファウストとメフィストフェレスの関係がモチーフだったのか。読了後に解説に目を通すまで分からなかった。中世ヨーロッパが舞…

読み進まない

面白い物語を読んでいる感覚があるのに、ひと息ついてふと本を見返してみるとほとんど頁を読み進んでいない。 この本を読んでいる間、心を亡くしてしまいそうな状況だっただけに内容に集中できていなかったのか、それとも面白い=さっくり読んでしまえる、と…

『聖女の救済』東野圭吾(文藝春秋)

探偵ガリレオシリーズ。たぶん先に『ガリレオの苦悩』を読んでおくのが正解なんだと思う。出だしから知らない人が登場していたし、ホームズとワトソンの仲が疎遠になっているし。 一発ネタのびっくりトリックは右に置いといて、殺された男の「女は産む機械」…

『容疑者Xの献身』東野圭吾(文春文庫)

IMEで変換したら「容疑者Xの検診」となった。 献身的に尽くす相手の印象はまるで違うんだけど、『幻夜』に登場した雅也も愛を信じて献身的に尽くしていたように思う。東野圭吾は、強い女性・黒子的に支える男性という関係が好きなのだろうか? 容疑者Xの献身…

『予知夢』東野圭吾(文春文庫)

探偵ガリレオシリーズ2作目の連作短編集。 予知夢、幽霊、ポルターガイストなどなどオカルト色が強くなった謎に若干専門性が増した科学的なトリックの落差が心地良い。ベクトルの向きが逆のもの同士が離れれば離れるほど、2つが合わさった際の快感が増すので…

『探偵ガリレオ』東野圭吾(文春文庫)

探偵ガリレオシリーズ1作目。科学的なトリックにわくわくしてしまうのは、説明されないと本当に分からないからだと思う。 読む前から気になっていた「ガリレオ」という名前の由来がわからなくて残念。湯川が物理学者だからイコールでガリレオという拍子抜け…

記憶違い

ちくま日本文学の芥川龍之介をちまちまとかじっている。「杜子春」を読んだ。 くりくり坊主だった頃にアニメで見て気に入った話だったな、と思いながら読んでいると僕が好きだった杜子春の話とまるっきり違った。符合しているのは杜子春という名前だけで、芥…

ブルースクリーン

こたつ用。テーブル用。寝床用。カバン用。それに遊撃軍。気が付いたらどれもが中途半端な読書模様。普段は多くてもせいぜい2,3冊のところなのに、自分の処理能力を超えた並行読書は何も残してくれない。

『幻夜』東野圭吾(集英社文庫)

『白夜行』の解説で馳星周が書いていたが、同じようにこの作品もノワールの系譜。 美冬の闇の部分に顔を突っ込んで見てみたい。たぶん作中に何度か言及される『風と共に去りぬ』やスカーレット・オハラを知っていたら美冬の心情を理解するための多少の糧には…

引用

『幻夜』東野圭吾(集英社文庫) 「雅也、あんた、金のために結婚するのは動機が不純やとかいいだすんやないやろね」 (中略) 「ええ歳して、結婚に理想を求めてどうするの。結婚はね、人生を変える手段なんよ。世の中で苦労してる女を見てみ。みんな旦那選…

『白夜行』東野圭吾(集英社文庫)

昨日、ハワード・ジン『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』を読み終えた後に東野圭吾の『白夜行』を読み始めたら止め所がわからず勢いよく最後までいってしまった。徹夜本なんて久しぶりだから朝日が眩しかった。TVの電源を入れたら中川昭一が亡…

初物は縁起が良い

書くだけ書いて、下書き保存した状態で放置してたorz 初物1 怪談文芸を書きたい読みたい人の為の入門書、東雅夫『怪談文芸ハンドブック』で怪談文芸の系譜に舌鼓を打ちながら、ちくま日本文学の『内田百けん』で内田百けんの小説を初めて読んだ。いつも通り…

『バルタザールの遍歴』佐藤亜紀(文春文庫)

友人の強烈プッシュで佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』を読んでいる。というのも、著者のブログは率直な切り口が好きで読んでいたのに、作品は読んでいないという話をしたから。だけど、その猛烈プッシュがしっくりこない。いや、一つの肉体に二つの人格と…

エログロナンセンスに惹きつけられる人のための観光案内

『珍世界紀行』都築響一(筑摩書房) 視界に入った途端、瞬間的に両の手で目を覆ってしまう。それでも、しばらく間をおいた後に固く閉じてしまった指と指を少しずつ離し、作り上げた隙間から覗きこんでしまう。そんな背徳的で暗い魅力に溢れたモノで満たされ…

死者の上にある街・パリ

『ワールド・ミステリー・ツアー13 パリ篇』(同朋舎) パリおもしれー!と、気分が高揚してしまった1冊。この本をパリの観光ガイドブックとして捉えた場合、目的地で日本人と遭遇するという可能性は低いだろうけど、土産話として披露してもそれを受け入れて…

『日本怪奇幻想紀行 二之巻 祟り・呪い道中』(同朋舎)

目次 丑の刻参りの呪詛に恐怖す―小松和彦 霊木と怪石の祟り話を探して―東雅夫 人に憑く、憑きものとは何か―加門七海 炭坑に纏わる怪談話を求めて―友成純一 九尾の狐の祟り、その殺生石を巡る―村上健司 恐怖の怨霊を鎮める、御霊信仰に迫る―多田克己 唐人お吉…

『バブルの肖像』都築響一(アスペクト),2006

文化としてのバブルが隆盛を誇っていたころ、小学生だった僕には接点のないものが多いかと思いきや、意外にもオートポリス、くまもとアートポリス、宮崎シーガイア、ハウステンボスと遊びにいったことのある施設があって驚いた。それに運営母体が変わったり…

『車輪の下で』ヘルマン・ヘッセ(光文社古典新訳文庫),1906

THE・青春。中学生の頃に読んで以来だと思う。終盤、ハンスが転がり落ちていく様の強烈な感触しか残っていなかったので、ここまで青春直球勝負な内容だったことに驚いた。 そしてあらためて読んで残った感触は、神学校での試験を終え、地元に戻ってきたハン…

『ウースター家の掟』P.G.ウッドハウス(国書刊行会),1938

『よしきた、ジーヴス』の続編となる長編。そして騒動の元となるのはウシ型クリーマーという骨董品で、ジーヴスとバーティーの間に生まれる静かな緊張感のもとは世界一周クルーズ。ジーヴスが海へと飛び出たいようで。 それで、題名となっているウースター家…

『サンキュー、ジーヴス』P.G. ウッドハウス(国書刊行会)

ジーヴス物で読む初めての長編。これまで何度か長編よりも短編を読みたいと書いてごめんなさい。これまでの短編で感じていたような小気味よいリズムを損なうことなく、長編でも心地良いままだったのは、バーティーに降りかかる試練が質・量ともに衰えるどこ…

『でかした、ジーヴス!』P.G. ウッドハウス(国書刊行会)

訳者あとがきによると最後の短編集になるらしい。アガサ伯母さんにはイラっとさせられるが、ダリア伯母さんからは愛情が感じられる、そんな短編集。 このジーヴス物、親族や友人とのいざこざに巻き込まれて窮地に陥るバーティーを、ジーヴスが知恵(というべ…

『それゆけ、ジーヴス』P.G.ウッドハウス(国書刊行会)

ウッドハウス初期、ジーヴス物の短編集。長編も面白いんだけど、個人的には短編の方がジーヴスの黒い部分をバリエーション多く味わえるので気に入っている。 最後に収録されている「バーティー考えを改める」は、いつものバーティー側ではなくジーヴス側から…

『小説作法』スティーヴン・キング(アーティスト・ハウス)

自伝的な部分と小説の書き方あるいは書く為の心構えの2つの部分からなっている。国内海外を含め小説作法や文章読本といった類の本を読んだのはこれが初めてだけど、意外に細かい技術的な部分まで踏み込んで書いてあって驚いた。もっと精神論的な部分や一般化…

『世界の終り、あるいは始まり』歌野晶午(角川文庫)

はじめて体感する形のミステリで、その変則的な物語の形式は新鮮だったけれども感想を書きづらい。ただ、身につまされる内容だし、これまで作中の人物と同じ感覚でスルー力を発揮してきた身には耳が痛い。かといってそれをスルーせず真摯に受け止めることで…