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『でかした、ジーヴス!』P.G. ウッドハウス(国書刊行会)

訳者あとがきによると最後の短編集になるらしい。アガサ伯母さんにはイラっとさせられるが、ダリア伯母さんからは愛情が感じられる、そんな短編集。
このジーヴス物、親族や友人とのいざこざに巻き込まれて窮地に陥るバーティーを、ジーヴスが知恵(というべきか悪知恵というべきか)を貸して救うという物語の大きな構図はどの話においても変わり映えしない。そんな中、毎度毎度ジーヴスとバーティーが仲違いを始める原因となる「不仲スイッチ」とでもいうべき小道具が何なのかというのを楽しみに読んでいたので、短編集を読めなくなるのは寂しいかぎり。短編集だと多くの不仲スイッチも登場してきていたので。
ジーヴスとバーティーは主従関係というより夫婦関係に似たような感じがあって、しょーもないことで喧嘩を始める夫婦にしか見えないことも多い。それというのも、前述のような物語の展開の後、難題から救われたバーティーはたいてい「ごめんね、ハニー」という感じで不仲スイッチを処分することを許可し、賢妻ジーヴスは笑顔で「ついさきほど○○に渡しておきました」などと気が利く妻を演じて二人の仲は大団円を迎える。
この定型的なやりとりをもっと読んでいたいと思うのです。