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読む。書く。のこす。

貴志祐介祭り

先月の『黒い家』、『十三番目の人格―ISOLA』に引き続き貴志祐介による極上のエンターテインメント小説を。

『天使の囀り』貴志祐介角川ホラー文庫

バイオホラー。ありえるかもしれない現実、という部分がバイオホラーとしての恐怖の源泉と思っている。そういう面から読んでみると本書の怖さは最高レベルに近い。寄生虫が元凶となる話だが謎の発端から解明、被害の拡散まで見事な組み立て。余計だと思えるのは、極限状態で主人公が恋に落ちてしまうというこれまでの貴志ホラーの定番だけか。

天使の囀り (角川ホラー文庫)

天使の囀り (角川ホラー文庫)

『青の炎』貴志祐介(角川文庫)

倒叙ミステリ。読もうと思っていた時期に、タイミングよく深夜映画で蜷川幸雄監督、二宮和也主演の映画が放送されていたのでそちらを先に観た上で原作としての本書を読んでみた。映画の方はまあ、松浦亜弥が・・・。映画に原作があった場合、もし両方共に接してみたい時には、映画→原作の順番の方がトータルとして外れる可能性が低いような気がしているので、そういう意味では今回は原作を読んで口直しができた例。
倒叙形式だからこそ、主人公の高校生が犯行に至る動機を追うことができたのか、と佐野洋の解説を読んで納得し、最近、疎遠になっていたミステリも倒叙ものだったらまだ味わえるかもしれないという希望を持つことができた。という今更感。

青の炎 (角川文庫)

青の炎 (角川文庫)