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建物で見る赤線地帯

「赤線」とは、昭和21年から昭和33年にかけて、日本中のいたるところに普通にあった「女性のいる町」のことだった。それまであった「遊郭」がGHQの手によって解体され、いったん公娼制度はなくなったものの、戦後の混乱期、集娼の必要を感じた政府はGHQの了承を取り付けて、再び公娼地帯を定めることになった。その俗称が赤線であり、地図上の営業許可区域を赤い線で囲ったことが名前の由来ともいわれているが、とくに根拠はないようである。

P18『消えた赤線放浪記』
廃墟や古めかしい建物にどうしても惹かれてしまうのは、中学生の頃、実家の近くにあった熊本の二本木という町に出会ってしまったから、という可能性が高い。そこが元遊郭や赤線だったという知識はなく、単純に目の前にある建物の発する雰囲気に引き付けられだけなんだけど、後付で遊郭だった、赤線だったという情報を付加していくとさらに趣が増した気がしていたのもいい思い出。不思議なもので、熊本城よりも二本木の建物の方が歴史というものの手触りを感じることができた。ま、相対的に近しい過去の方が掴み安かっただけなのかもしれないけれど。
昨年取り壊された二本木の旧日本亭を写真に撮っている方がいらっしゃったのでリンク。建物の記憶 熊本・二本木「旧日本亭」その1 晴天乱気流

『赤線跡を歩く』木村聡(ちくま文庫)1998

首都圏を中心に、当時の面影を残す建物の写真が数多く掲載されている。木造、モルタル仕上げの壁、タイル装飾、ステンドグラス。垂涎の写真集。
この本のあとに2巻、3巻と出ている。

赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (ちくま文庫)

赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (ちくま文庫)

『消えた赤線放浪記』木村聡(ミリオン出版)2005

こちらは全国版。

消えた赤線放浪記 その色町の今は……

消えた赤線放浪記 その色町の今は……