2010年の記憶に残った本
今年のほにゃらら、というのを初めてしてみる。新刊をほとんど読まないし、そもそも定番となっている10冊という数字を選ぶほどの読書量もないので、ささやかに小説編5冊と非小説編4冊という変則仕様。ただ、1年分の自分の読書を振り返ることができるという点では、優れた企画なんだと思う。これまで振り返ったことがなかったから新鮮だった。
小説編
- 作者: 三津田信三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/13
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (63件) を見る
横溝正史的な雰囲気と、京極夏彦的な謎解き、そしてひと通り説明がついた後にも残る余韻が引き起こす恐怖感がよかった。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1994/02
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (142件) を見る
今年読み始めた小川洋子。偏執的な情景描写に比べて詳しくは描かれない登場人物の内面のせいか、逆説的に感情が浮かび上がって悪意や善意が際立ってくるようで怖かった。
- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/15
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
登場人物の会話のやり取りを読んでいると自然と笑みがこぼれてくる。人物の動かし方が本当に巧い。
- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/08
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
佐藤亜紀作品から2冊目。ナポレオン暗殺の陰謀へ向かうまでのプロセスと駆け引きが素晴らしい。
- 作者: 貴志祐介,酒井和男
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2000/12/08
- メディア: 文庫
- 購入: 19人 クリック: 163回
- この商品を含むブログ (90件) を見る
今年の貴志祐介祭りの中ではこの作品のえぐさが最も心に残った。『ホット・ゾーン』でもそうだったけど、目に見えない敵が現われた場合の真の敵は人間なのだなと。
非小説編
- 作者: 礫川全次
- 出版社/メーカー: 批評社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
『赤朽葉家の伝説』から始まって『後巷説百物語』まで。今年の読書にはサンカがよく登場したので、そういう意味では今年の1冊かもしれない。
- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 四谷ラウンド
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
佐藤亜紀による書評集。本の読み方という意味では、今年はこの本と村上春樹の『若い読者のための短編小説案内』が参考になった。
- 作者: 木村聡
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/03
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 123回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
赤線時代の建物を当地の歴史と共に紹介した写真集。人の営みが刻まれた建物に興味がある人にとっては垂涎の一冊。
- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/05/16
- メディア: 文庫
- 購入: 49人 クリック: 366回
- この商品を含むブログ (204件) を見る
歴史には人がいるし、人がいる場所には生活がある。来年は宮本常一の著作をもっと読んでみたい。