読書
『ハードボイルド・エッグ』の続編。 コミカルで頼りなく妙に親近感のわく探偵は顕在。前作で登場した秘書のおばあちゃんがいないのは寂しいけれど、脱走ネコを探す過程はやはり面白い。リアリズムを追求した現代型の私立探偵だと浮気調査やペット捜索が発端…
6冊か。体感としてはもっと少ないという感触だったのに、ワールドカップが始まる前に若干の貯金があった模様。始まってからは本当に物語が頭の中に入ってこない状態だったので、高橋源一郎の本をちびちびとナメるように読んでいた6月。 6月の読書メーター 読…
W杯が始まってからというもの本を読む集中力がないので、この本1冊をちまちまと読み進めていた。この本を読む前にアマゾンでレビューに目を通したところ 高橋氏本人がインスパイアされたと語る「坊ちゃんの時代」という漫画(1997年手塚治文化賞受賞、関川夏…
鳥取の赤朽葉家を舞台に女三代、戦後からゼロ年代にまたがる年代記。三代とは祖母の万葉、母の毛毬、子であり記述者の瞳子。これまで読んだ桜庭一樹の本の中では最も面白かった*1。 辺境の人にまつわるエピソードからツボにはまったので、物語の面白さは万葉…
むかしむかしのことじゃった、・・・みんなでなかよくくらしましたとさ。昔語り風に展開される恋愛物語は、昼寝中に昔話のような自分史の中で狼に変身してしまうほどに物語浸透率が高い。 モンティニーの狼男爵 (光文社文庫)作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: …
久しぶりの読んだ本まとめ。実感以上に読んでいた5月。 こういう区分に意味があるとは思えないけど、今年は女性作家の小説をよく読むようになった。これという際立つような理由は分からない。ただ、僕が好んで読む種類の「本についての本」の中で紹介され、…
む。 4月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:2808ページ長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) 読了日:04月01日 著者:レイモンド・チャンドラー余白の愛 (中公文庫) エロい。指のエロさに、小声のエロさ。新たにフェチに興味が湧い…
日経新聞掲載の「私の履歴書」をまとめたもの。 白川静は漢字の活性化の必要性を解き、中村元は小難しい仏教用語をいかに分かりやすく伝えるかに苦心し、梅棹忠夫はローマ字運動やエスペラント運動に身を投じた。偶然なのか、意図して編集したのかわからない…
1,2月の三津田信三祭りが一段落した。そう多く描写されるわけではないのに怪談、あるいはホラーの部分での語りの上手さが印象に残った。単に僕が怖がりだから印象に残りやすかったのかもしれないけれど。 それと、読みたい本の蓄積と消化のバランスが著しく…
SWITCHの3月号。東京事変、運動的音楽論。 今日発売のアルバム「スポーツ」についてのインタビューをメンバーそれぞれにしてあるけど、ドラムスの刄田綴色のインタビューでの受け応えにウケてしまった。普通っぽいはずなのに多少ズレている感に好感を持って…
あとがきより 子供の頃から、新聞で一番好きなのは科学の記事でした。 (中略) そして記事の脇に研究者のお写真が載っていれば、当然私の目はそこに釘付けとなります。この先生の脳みそには人間はどんな姿で映っているのだろうか、一体どういういきさつでこ…
刀城言耶シリーズの中短編集。短い話だと中途半端な印象がぬぐえなかった。なので、唯一の中編である表題作が最も読み応えがあった。 首切の如き裂くもの 元華族の人たちが多く住むお屋敷町の路地で起きる連続首切り殺人事件。突っ込みどころの多い話。 迷家…
童唄をもとにした見立て殺人。マザー・グースの童唄を元にした見立て殺人もそれなりに恐怖心を煽られるけど、日本の童唄の方がより怖いと感じるのは歌の背景をイメージしやすいからか。 わらべ歌、童謡の歌詞の意味(意外に怖い) 週刊弐式(ry 童謡、わらべ歌…
タンパク質の製造過程で遺伝子のありかが探し出され、それが転写される様子を小川洋子は、 私のイメージの中で、DNAのチャックは静かに開く。もちろん必要な長さだけ、わずかの狂いもなく、厳かな雰囲気さえ漂わせつつ開く。ご本尊なのだから、慌てたり、は…
刀城言耶シリーズを3作読んだけど、ミステリとして最も楽しめる内容だった。終盤でのどんでん返しの連続を左手で感じる残りページ数からもう一転がりするかなと推測しながら読む楽しさ。ミステリの読み方としては間違っていると思うけど。 首無の如き祟るも…
三津田信三の刀城言耶シリーズを読み始めた1月。 1月の読書メーター 読んだ本の数:6冊 読んだページ数:2012ページ厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ) 面白かった。京極夏彦の作品のように謎を一度解体して、再度構築して解決するという手法とは違っ…
昨晩、日本酒片手に焼いた長ネギを食べていたら『長いお別れ』を読みたくなる。ひとまず本棚、本ダンボールを探すも手掛かりなし。あるのは間違いないんだけど、どこにあるのかわからない。そんなわけで、探す努力を放棄して帰りに古本屋で買ってきた。レイ…
ミステリとしても、ホラーとしても中途半端な印象の作品だった。中盤を飛ばし読みした僕が言うのもなんだけれど。 凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/06メディア: 新書購入: 4人 クリック: 25回こ…
ミステリを読むのに骨格となる部分を字面を追うだけで済ませている三津田信三の刀城言耶シリーズ。『凶鳥の如き忌むもの』で中盤を占める人間消失のトリックを「場合分け」で検証する場面、ひとつひとつ自分でも考えるのが楽しいのだろうけど、どうやって?…
ビレッジセンター出版局版。 ヨハネスとシュピーゲルグランツの道中は、弥次喜多コンビのようで面白いと思っていたのに、なるほどファウストとメフィストフェレスの関係がモチーフだったのか。読了後に解説に目を通すまで分からなかった。中世ヨーロッパが舞…
12月は1冊の本を読み切るということができずに、ほとんどがつまみ食い状態。集中して読めなかった。そんな中でも初めて読んだスティーヴン・ミルハウザーの本は、読書という行為の楽しみを改めて感じることができて良い出会いだった。 ところで読書メーター…
図書館から借りた本に線が引かれていたりメモが書き込まれていたり、ということが珍しいことではなくそれなりの頻度で出くわすことがあるのは一利用者としてため息をつきたくなる。 ただ、同じ書き込みでも誤植を丁寧に修正している書き込みを見ると気持ちが…
面白い物語を読んでいる感覚があるのに、ひと息ついてふと本を見返してみるとほとんど頁を読み進んでいない。 この本を読んでいる間、心を亡くしてしまいそうな状況だっただけに内容に集中できていなかったのか、それとも面白い=さっくり読んでしまえる、と…
探偵ガリレオシリーズをまとめて読んだ月。夏ごろからひっそりと進行中の「文学全集を読もう」は、ちくま日本文学の芥川龍之介だけ。 11月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 読んだページ数:3185ページユリイカ2005年1月号 特集=翻訳作法 読了日:11月09日…
探偵ガリレオシリーズ。たぶん先に『ガリレオの苦悩』を読んでおくのが正解なんだと思う。出だしから知らない人が登場していたし、ホームズとワトソンの仲が疎遠になっているし。 一発ネタのびっくりトリックは右に置いといて、殺された男の「女は産む機械」…
IMEで変換したら「容疑者Xの検診」となった。 献身的に尽くす相手の印象はまるで違うんだけど、『幻夜』に登場した雅也も愛を信じて献身的に尽くしていたように思う。東野圭吾は、強い女性・黒子的に支える男性という関係が好きなのだろうか? 容疑者Xの献身…
探偵ガリレオシリーズ2作目の連作短編集。 予知夢、幽霊、ポルターガイストなどなどオカルト色が強くなった謎に若干専門性が増した科学的なトリックの落差が心地良い。ベクトルの向きが逆のもの同士が離れれば離れるほど、2つが合わさった際の快感が増すので…
探偵ガリレオシリーズ1作目。科学的なトリックにわくわくしてしまうのは、説明されないと本当に分からないからだと思う。 読む前から気になっていた「ガリレオ」という名前の由来がわからなくて残念。湯川が物理学者だからイコールでガリレオという拍子抜け…
ちくま日本文学の芥川龍之介をちまちまとかじっている。「杜子春」を読んだ。 くりくり坊主だった頃にアニメで見て気に入った話だったな、と思いながら読んでいると僕が好きだった杜子春の話とまるっきり違った。符合しているのは杜子春という名前だけで、芥…
こたつ用。テーブル用。寝床用。カバン用。それに遊撃軍。気が付いたらどれもが中途半端な読書模様。普段は多くてもせいぜい2,3冊のところなのに、自分の処理能力を超えた並行読書は何も残してくれない。