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『恋文』連城三紀彦(新潮文庫)

短編集。「恋文」「紅き唇」「十三年目の子守歌」「ピエロ」「私の叔父さん」の5編。
個人的には「十三年目の子守歌」と「私の叔父さん」が良かった。表題作の「恋文」も物語としては楽しめたのだけれど、どうにもまどろっこしくてダメ。「十三年目の子守歌」は、ミステリ的な手法と親子の関係がかっちりと当てはまる瞬間の心地良さと戸惑いがなんとも言えずたまらなかった。「私の叔父さん」に関しては、ネット上で『恋文』の感想をさらっと読んでみたら気に入っている人が多かったんだけど、それも納得の内容。ある種のダイイングメッセージのような暗号は、クラシカルな表現だからこそ胸に強く響いてきたのかもしれない。
あー、クラシカルとはいってもケータイでできないこともないか。今、この小説が流行ったら同様の手口も流行ったりして。

恋文 (新潮文庫)

恋文 (新潮文庫)