『茶柱が立つと縁起がいい―語り継ぎたい「日本の言い伝え」』黒塚信一郎(原書房)
「雷が鳴ってきたよ。ヘソを隠さないと雷様にとられるよ。」と、小さい頃に母や祖父母から言われていた記憶がある。そういったときに、なんで?と聞いても適当にはぐらかされるのが落ちだったし、何よりその頃は確かに雷の迫力が怖かったから素直にヘソを隠していた、はず。理由はわからなくても、なんとなく言われたことは真実のような気がしていた。
こういった昔からの言い伝えについて一つ一つ習俗・風習や歴史的な背景から解説してあるので、わかりやすく腑に落ちやすい内容だった。合理的な理由のものもあれば、現在の感覚からすればよくわからないものもあるんだけど、それはそれで雑学として楽しめる。
それに、数ある昔からの言い伝えについてすごく無関心というか、鈍感になっていることを自覚した。あー聞いたことあるなあ、という記憶をどうさかのぼっても小学生の頃くらいが限界だし、それ以降現在に至るまでにこれらを耳にした覚えがない。それが寂しいなと。
以下、目次。49項目あったんで続きを読むに収納しました。
太字になっているのは、僕が聞いたことのあった言い伝え。20/49しかなかった。あと、僕が聞いていたのと微妙に言い回しが違うものもあった。1のクモの話は、朝夜分けずに家の中のクモは縁起がいいから殺したらダメだ、というものだった。4のカラスに関しては逆で人が死んだ家の近くでカラスが鳴くというものだったような気がする。まあ、子供が聞いたものだから聞き間違っていたのかもしれないし、地方によっても違う可能性は大きいと思うけど。
- 朝のクモは縁起がいいが、夜のクモは縁起が悪い
- 夜、爪を切ると親の死に目に遭えない
- ミミズに小便をかけると、チンチンが腫れる
- カラスが鳴くと、人が死ぬ
- 夜中に合わせ鏡をすると、魔が出る
- 夜、口笛を吹くと蛇が出る
- 七夕の朝に髪を洗うと、髪が美しくなる
- 敷居は踏んではいけない
- 茶柱が立つと縁起がいい
- 雷は臍*1をとる
- 節分では、自分の年齢より一つ多く豆を食べろ
- 庚申の日の夜には、仕事や交合(セックス)をしてはいけない
- お雛様は早めにしまわなければならない
- 畳の縁を踏んではいけない
- うらみ・つらみの丑の刻参りは効果がある
- 秋ナスは嫁に食わすな
- 冬至にカボチャを食べると病気をしない
- 除夜の鐘は、百八つ打たなければいけない
- 寝言には返事をしてはいけない。糞食らえというと、死んでしまう
- 長居をする客には、逆さ箒を立てろ
- 霊柩車を見たら、親指を隠せ
- 薬指の名を呼んではいけない
- お便所で唾や痰を吐くと、罰があたる
- 手振り水をかけられると、かけられた人が死ぬ
- 同い年の人が死んだら、耳ふさぎをしろ
- 足袋を履いて寝ると、親の死に目に遭えない
- 猫は化けて出る。殺すと七代祟る
- 厄年には厄払いをしなければいけない
- お正月には必ずお餅を食べなければいけない
- 抜けた乳歯は縁の下(屋根の上)に投げろ
- 人は満ち潮に生まれ、引き潮に死ぬ
- 妊婦が火事をみると、赤アザの子が生まれる
- 出産は穢れ、産婦の炊事は別炉で(別火)でしろ
- 蛇の夢を見ると縁起がいい
- 柿の木から落ちると、三年しか生きられない
- ビワの木を庭に植えるのはよくない
- ミョウガを食べると物忘れをする
- 南天を屋敷内に植えると家は栄える
- 片見月(片月見)はよくない。十五夜だけを祝うのはよくない
- 鮫よけにはフンドシを流せ
- 着物を左前に着てはいけない
- 午後から新しい履物を下ろすときは竈の灰(墨)を塗れ
- しつけ糸をとらずに着ると、死ぬ
- 別れぎわには、手を振らなければいけない
- 死者の体の上には、刃物を置かなければならない
- 出がけに靴の紐が切れると、縁起が悪い
- 自分の生き写しに会うと、近いうちに死ぬ
- 初物を食べると、寿命が七十五日延びる
- 火事の夢を見ると、縁起がいい
*1:へそ