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読む。書く。のこす。

読書

2009年10月に読んだ本

『白夜行』、『幻夜』に『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』と読みだすと止めどころの難しいものを読めてよかった。その後、読書離れ中。適度に図書館で雑誌のバックナンバーを借りて読んでたくらいか。図書館、偉い。 10月の読書メーター 読ん…

ブックオカ一箱古本市と残念な点

昨日、この時期恒例の一箱古本市へ遊びに行ってきた。去年の雨模様とはうって変わって暑いくらいに晴れ。日差しの当たる場所での店子さんは大変だったんじゃなかろうか。 衝動買いをしたくなるような本とは出会うことができず、収穫としては東野圭吾の探偵ガ…

『幻夜』東野圭吾(集英社文庫)

『白夜行』の解説で馳星周が書いていたが、同じようにこの作品もノワールの系譜。 美冬の闇の部分に顔を突っ込んで見てみたい。たぶん作中に何度か言及される『風と共に去りぬ』やスカーレット・オハラを知っていたら美冬の心情を理解するための多少の糧には…

引用

『幻夜』東野圭吾(集英社文庫) 「雅也、あんた、金のために結婚するのは動機が不純やとかいいだすんやないやろね」 (中略) 「ええ歳して、結婚に理想を求めてどうするの。結婚はね、人生を変える手段なんよ。世の中で苦労してる女を見てみ。みんな旦那選…

『白夜行』東野圭吾(集英社文庫)

昨日、ハワード・ジン『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』を読み終えた後に東野圭吾の『白夜行』を読み始めたら止め所がわからず勢いよく最後までいってしまった。徹夜本なんて久しぶりだから朝日が眩しかった。TVの電源を入れたら中川昭一が亡…

2009年9月に読んだ本

詳しくは僕にもわかっていないんだけど、何かの交換条件でリリアン・J・ブラウンのシャム猫ココシリーズを読むことになった9月。同じような猫の話を読むのならくるねこ大和の方が、限りなく好みに近い。ま、土俵は違うけれども。 とうとう東野圭吾に手を伸…

初物は縁起が良い

書くだけ書いて、下書き保存した状態で放置してたorz 初物1 怪談文芸を書きたい読みたい人の為の入門書、東雅夫『怪談文芸ハンドブック』で怪談文芸の系譜に舌鼓を打ちながら、ちくま日本文学の『内田百けん』で内田百けんの小説を初めて読んだ。いつも通り…

突発性掃除症候群

段ボールの中に適当に積み上げていた本の山が崩れて、埃がもくもくと舞い上がったので突然の掃除。初めのうちはついでに整理もしようかと野望を抱いたものの、例のごとくパラパラとめくっているうちに時間ばかりが過ぎてしまい断念。結局、崩れ落ちた最終局…

2009年8月に読んだ本

小説としては佐藤亜紀の本に初挑戦だった8月。『バルタザールの遍歴』で初対面から問答無用の返り討ちに合うものの、『戦争の法』で多少距離が縮まった。と思うことにした。この2作の他はまだ読んでいないけど、ジーヴスシリーズと同様にゆっくり攻めてみよ…

つい口にする

ただいま。おかえり。ここをサボって、想像上の山を登って降りてきたらツクツクボウシが鳴きはじめていた。 村上春樹『国境の南、太陽の西』、宮本輝『ここに地終わり海始まる』。2冊とも内容は違うのに、僕の中ではいつもセットで思い出してしまう組み合わ…

『バルタザールの遍歴』佐藤亜紀(文春文庫)

友人の強烈プッシュで佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』を読んでいる。というのも、著者のブログは率直な切り口が好きで読んでいたのに、作品は読んでいないという話をしたから。だけど、その猛烈プッシュがしっくりこない。いや、一つの肉体に二つの人格と…

エログロナンセンスに惹きつけられる人のための観光案内

『珍世界紀行』都築響一(筑摩書房) 視界に入った途端、瞬間的に両の手で目を覆ってしまう。それでも、しばらく間をおいた後に固く閉じてしまった指と指を少しずつ離し、作り上げた隙間から覗きこんでしまう。そんな背徳的で暗い魅力に溢れたモノで満たされ…

2009年7月に読んだ本

小池壮彦が書く、怪異を解体するような内容の本に引きずられていた7月。それと、怪奇・幽霊関連のノンフィクションばかり読んでいた。気分だけは夏。 7月の読書メーター 読んだ本の数:17冊 読んだページ数:5188ページ図書館愛書家の楽園 ★★★★。本や図書館…

死者の上にある街・パリ

『ワールド・ミステリー・ツアー13 パリ篇』(同朋舎) パリおもしれー!と、気分が高揚してしまった1冊。この本をパリの観光ガイドブックとして捉えた場合、目的地で日本人と遭遇するという可能性は低いだろうけど、土産話として披露してもそれを受け入れて…

ノルウェイの森がエロかったおかげで

僕は顔を上げて北海の上空に浮かんだ暗い雲を眺め、自分がこれまでの人生の過程で失ってきた多くのもののことを考えた。失われた時間、死にあるいは去っていった人々、もう戻ることのない想い。 村上春樹『ノルウェイの森』p6。 初めて『ノルウェイの森』を…

2009年6月に読んだ本

読みたい本が、だんだんとフィクションからノンフィクションへ移行していっているのがわかる。もしかしたら気候に影響されているのかもしれない。 6月の読書メーター 読んだ本の数:9冊 読んだページ数:2270ページ批評の事情―不良のための論壇案内 再読。 …

『日本怪奇幻想紀行 二之巻 祟り・呪い道中』(同朋舎)

目次 丑の刻参りの呪詛に恐怖す―小松和彦 霊木と怪石の祟り話を探して―東雅夫 人に憑く、憑きものとは何か―加門七海 炭坑に纏わる怪談話を求めて―友成純一 九尾の狐の祟り、その殺生石を巡る―村上健司 恐怖の怨霊を鎮める、御霊信仰に迫る―多田克己 唐人お吉…

『バブルの肖像』都築響一(アスペクト),2006

文化としてのバブルが隆盛を誇っていたころ、小学生だった僕には接点のないものが多いかと思いきや、意外にもオートポリス、くまもとアートポリス、宮崎シーガイア、ハウステンボスと遊びにいったことのある施設があって驚いた。それに運営母体が変わったり…

『車輪の下で』ヘルマン・ヘッセ(光文社古典新訳文庫),1906

THE・青春。中学生の頃に読んで以来だと思う。終盤、ハンスが転がり落ちていく様の強烈な感触しか残っていなかったので、ここまで青春直球勝負な内容だったことに驚いた。 そしてあらためて読んで残った感触は、神学校での試験を終え、地元に戻ってきたハン…

『ウースター家の掟』P.G.ウッドハウス(国書刊行会),1938

『よしきた、ジーヴス』の続編となる長編。そして騒動の元となるのはウシ型クリーマーという骨董品で、ジーヴスとバーティーの間に生まれる静かな緊張感のもとは世界一周クルーズ。ジーヴスが海へと飛び出たいようで。 それで、題名となっているウースター家…

2009年5月に読んだ本

P.G.ウッドハウス月間だった。「よしきた」「それゆけ」「でかした」というタイトルの区別が難しいと感じてしまうのは、何かしら欠損が生じているのでしょうか。パッとタイトルを言われてもサッと応えることができない。 5月の読書メーター 読んだ本の数:11…

『サンキュー、ジーヴス』P.G. ウッドハウス(国書刊行会)

ジーヴス物で読む初めての長編。これまで何度か長編よりも短編を読みたいと書いてごめんなさい。これまでの短編で感じていたような小気味よいリズムを損なうことなく、長編でも心地良いままだったのは、バーティーに降りかかる試練が質・量ともに衰えるどこ…

『でかした、ジーヴス!』P.G. ウッドハウス(国書刊行会)

訳者あとがきによると最後の短編集になるらしい。アガサ伯母さんにはイラっとさせられるが、ダリア伯母さんからは愛情が感じられる、そんな短編集。 このジーヴス物、親族や友人とのいざこざに巻き込まれて窮地に陥るバーティーを、ジーヴスが知恵(というべ…

1Q84とノルウェイの森

村上春樹さんの新作長編小説「1Q84」(全2巻)が全国の書店に並んだ29日、出版元の新潮社は3度目の増刷を決め、部数は累計で68万部に上った。発売日に4刷68万部という数字について、同社広報宣伝部は「新潮社史上空前の記録」としている。 <村…

『それゆけ、ジーヴス』P.G.ウッドハウス(国書刊行会)

ウッドハウス初期、ジーヴス物の短編集。長編も面白いんだけど、個人的には短編の方がジーヴスの黒い部分をバリエーション多く味わえるので気に入っている。 最後に収録されている「バーティー考えを改める」は、いつものバーティー側ではなくジーヴス側から…

『小説作法』スティーヴン・キング(アーティスト・ハウス)

自伝的な部分と小説の書き方あるいは書く為の心構えの2つの部分からなっている。国内海外を含め小説作法や文章読本といった類の本を読んだのはこれが初めてだけど、意外に細かい技術的な部分まで踏み込んで書いてあって驚いた。もっと精神論的な部分や一般化…

2009年4月に読んだ本

恒例。 4月の読書メーター 読んだ本の数:7冊 読んだページ数:2481ページ雪沼とその周辺 ★★★。 読了日:04月06日 著者:堀江 敏幸公認会計士vs特捜検察 ★★★★。閉ざされた権力の闇は怖い。裁判員制度が現行の司法制度の改善の端緒になればいいんだけど。 読…

『世界の終り、あるいは始まり』歌野晶午(角川文庫)

はじめて体感する形のミステリで、その変則的な物語の形式は新鮮だったけれども感想を書きづらい。ただ、身につまされる内容だし、これまで作中の人物と同じ感覚でスルー力を発揮してきた身には耳が痛い。かといってそれをスルーせず真摯に受け止めることで…

『日の名残り』カズオ・イシグロ(ハヤカワepi文庫)

読み終えた。国家の品格、女性の品格などなど2006年くらいに発生した品格ブームの元祖となるべき作品ではないだろうか。 執事のロード・ムービーのような作品と書いたらあまりにも大雑把すぎるとは思うけど、新しいご主人から勧められ、旅へ出た執事が自分の…

2009年3月の読了本

毎月の恒例になりはじめたような。 3月の読書メーター 読んだ本の数:10冊 読んだページ数:2632ページBRUTUS (ブルータス) 2009年 3/15号 [雑誌] 表紙の猫の表情に惹かれた。こういう顔した人間もいるよな、と思いつつ。 読了日:03月05日 著者:ライオンハ…